従業員が退職するときの労働保険・社会保険の手続きと期限
従業員が退職すると、会社では労働保険や社会保険の資格喪失など、いくつかの手続きが必要になります。
「退職者が出たけれど、何をいつまでに手続きすればよいのかわからない」という会社も少なくありません。
今回は、従業員が退職するときに会社が行う労働保険・社会保険の主な手続きについて、手続きの内容や期限を整理してご紹介します。
退職するときに必要な主な手続き
従業員が退職した場合、主に次の手続きがあります。
| 保険 | 主な手続き | 提出先 | 主な期限 |
|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 | 被保険者資格喪失届 | 年金事務所等 | 事実発生から5日以内 |
| 雇用保険 | 被保険者資格喪失届 | ハローワーク | 被保険者でなくなった日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険 | 離職証明書 | ハローワーク | 資格喪失届とあわせて手続き |
| 労災保険 | 原則として個人の資格喪失届は不要 | ― | ― |
ここで注意したいのが、労災保険と雇用保険では退職時の手続きが異なるという点です。
1.健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続き
健康保険・厚生年金保険に加入している従業員が退職した場合は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を提出します。
提出期限は、事実発生から5日以内です。
提出先は、年金事務所または事務センターです。
資格喪失日はいつ?
社会保険では、原則として退職日の翌日が資格喪失日となります。
例えば、
- 9月30日退職 → 10月1日資格喪失
- 9月29日退職 → 9月30日資格喪失
となります。
退職日と資格喪失日を間違えないよう注意が必要です。
健康保険の資格確認書なども確認
会社が健康保険の資格確認書などを交付している場合は、退職時に返却が必要となる場合があります。
退職者から回収したものについては、資格喪失の手続きとあわせて確認しておきましょう。
2.雇用保険の資格喪失手続き
雇用保険に加入している従業員が退職した場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。
提出期限は、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内です。
手続きは、事業所を管轄するハローワークで行います。
退職者が離職票を必要とする場合には、資格喪失届だけでなく、離職証明書の手続きも必要になります。
3.離職票が必要な場合
退職した従業員が失業等給付の手続きをする場合などには、離職票が必要になることがあります。
会社が離職証明書を作成してハローワークへ提出し、その後、離職票が本人に交付される流れになります。
離職証明書には、
- 退職前の賃金
- 出勤状況
- 離職理由
などを記載します。
特に注意したいのが離職理由です。
自己都合による退職なのか、会社側の事情による退職なのか、契約期間満了なのかなど、退職に至った事情を確認したうえで適切に手続きを行う必要があります。
4.労災保険については資格喪失届が必要?
労災保険については、健康保険や雇用保険のように、退職した従業員ごとに資格喪失届を提出するという仕組みではありません。
労災保険は、原則として労働者を使用する事業に適用され、労働者個人ではなく事業を単位として保険関係が成立しています。
そのため、従業員が1人退職したからといって、労災保険について個別の資格喪失手続きを行う必要はありません。
ただし、雇用保険については個々の被保険者について資格喪失手続きが必要です。
「労働保険」と一括して考えてしまうと混乱しやすいところなので、注意しましょう。
5.退職者が出たときの手続きを整理
従業員が退職するときは、次のように整理するとわかりやすくなります。
社会保険
健康保険・厚生年金保険の資格喪失届
→ 事実発生から5日以内
雇用保険
雇用保険被保険者資格喪失届
→ 被保険者でなくなった日の翌日から10日以内
離職票が必要な場合
雇用保険の資格喪失手続きに加えて、離職証明書を提出
→ 離職票が必要かどうかを確認して早めに手続き
労災保険
退職者ごとの資格喪失手続きは原則不要
このように、退職時の手続きは保険の種類によって異なります。
退職手続きで注意したいポイント
退職日と資格喪失日を確認する
社会保険では、原則として退職日の翌日が資格喪失日です。
給与計算や社会保険料の計算にも関係するため、退職日を正確に確認しましょう。
雇用保険の離職理由を確認する
離職理由は、雇用保険の手続きに関係します。
会社側で一方的に判断するのではなく、退職に至った経緯や本人の意思などを確認し、適切に手続きを行うことが重要です。
離職票が必要か確認する
退職者から「離職票がほしい」と言われた場合には、離職証明書の手続きが必要になります。
退職が決まった段階で、離職票が必要かどうかを確認しておくと手続きを進めやすくなります。
退職時の社会保険・雇用保険の手続きをお忘れなく
従業員が退職すると、社会保険と雇用保険でそれぞれ資格喪失の手続きが必要になります。
特に、
- 社会保険の資格喪失届は5日以内
- 雇用保険の資格喪失届は10日以内
- 離職票が必要な場合は離職証明書の手続きが必要
というように、それぞれ手続きや期限が異なります。
退職者が出たときに慌てないよう、会社で退職手続きのチェックリストを用意しておくと安心です。
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