労災保険・雇用保険の加入条件とは?会社が知っておきたい手続き

従業員を雇用すると、会社には労働保険に関する手続きが必要になります。

労働保険とは、労災保険と雇用保険を合わせた総称です。

ただし、労災保険と雇用保険では加入の仕組みが異なります。

「パートやアルバイトも労災保険に加入するの?」

「雇用保険は週何時間働く人が対象?」

「初めて従業員を雇った場合、会社として何をすればいい?」

このような疑問を持つ事業主の方も多いのではないでしょうか。

今回は、労災保険と雇用保険の加入について、会社が確認しておきたいポイントを整理します。


労働保険とは?

労働保険は、

  • 労災保険
  • 雇用保険

の2つを合わせた呼び方です。

どちらも労働者を守るための制度ですが、対象となる条件や保険料の負担、手続きなどには違いがあります。

労災保険雇用保険
主な保障仕事中・通勤中のけがや病気など失業、育児休業、介護休業など
加入対象原則として労働者を雇用する事業一定の要件を満たす労働者
パート・アルバイト原則として対象条件を満たせば対象
保険料原則として全額事業主負担事業主と労働者が負担

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。


労災保険は1人でも従業員を雇ったら原則対象

労災保険は、労働者が仕事中や通勤中にけがをした場合などに、必要な給付を行う制度です。

労災保険について重要なのは、

「正社員だから加入する」「パートだから加入しない」という仕組みではない

ということです。

原則として、労働者を1人でも雇用する事業は労災保険の適用対象となります。

そのため、

  • 正社員
  • パート
  • アルバイト
  • 契約社員

など、雇用形態にかかわらず、労働者として雇用していれば労災保険の対象になります。

週の勤務時間が短くても対象?

はい。

雇用保険とは異なり、労災保険には「週20時間以上」などの加入条件はありません。

例えば、週に数日しか勤務しないパートやアルバイトであっても、労働者として雇用している場合は、原則として労災保険の対象となります。


初めて従業員を雇う会社の労災保険手続き

これまで労働者を雇用したことがない会社が初めて従業員を雇う場合には、労働保険の保険関係成立に関する手続きなどが必要になります。

労働保険の手続きでは、

「会社として労働保険に加入する手続き」

と、

「個々の従業員について雇用保険の資格を取得する手続き」

を分けて考えると分かりやすいでしょう。

なお、労災保険については、従業員一人ひとりについて健康保険のような「資格取得届」を提出する仕組みではありません。


雇用保険は加入条件を確認する

雇用保険は、失業した場合の給付だけでなく、育児休業給付や介護休業給付など、働く人の生活を支えるさまざまな給付に関係する制度です。

ただし、労働者を雇ったからといって、全員が雇用保険に加入するわけではありません。

雇用保険の加入対象となるかどうかを確認する必要があります。

雇用保険の主な加入要件

原則として、次の両方を満たす場合は雇用保険の被保険者となります。

① 1週間の所定労働時間が20時間以上

契約上の週の所定労働時間が20時間以上であることが基本的な要件の一つです。

② 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

31日以上雇用される見込みがあることも要件となります。

したがって、

週20時間以上働き、31日以上雇用される見込みがあるパート・アルバイト

についても、原則として雇用保険の加入対象となります。


「アルバイトだから雇用保険は不要」は間違い

雇用保険でよくある間違いが、

「アルバイトだから加入しなくていい」

という判断です。

雇用保険は雇用形態だけで判断するものではありません。

例えば、

週25時間勤務・長期雇用のアルバイト

であれば、原則として雇用保険の加入対象となります。

反対に、勤務時間が短く加入要件を満たさない場合は、雇用保険の対象とはなりません。

採用時には「正社員・パート・アルバイト」という名称ではなく、実際の労働条件を確認することが重要です。


雇用保険の資格取得手続き

雇用保険の加入対象となる従業員を雇った場合、会社は雇用保険の資格取得手続きを行います。

手続きでは、従業員の氏名、生年月日、雇用年月日などの情報を確認します。

すでに雇用保険の被保険者番号を持っている場合には、その番号も確認します。

手続き先は、原則として事業所を管轄するハローワークです。

資格取得届には提出期限がありますので、入社後に忘れないよう注意が必要です。


労災保険と雇用保険の違いを整理

ここまでの内容を整理すると、次のようになります。

確認項目労災保険雇用保険
労働者を1人雇った場合原則対象加入要件を確認
パート原則対象要件を満たせば対象
アルバイト原則対象要件を満たせば対象
週20時間未満労災は対象原則対象外
主な給付労災による療養・休業など失業・育児休業など
主な手続き先労働基準監督署等ハローワーク

※実際の適用については、事業の種類や労働者の状況などによって例外があります。


労働保険料は誰が負担する?

労災保険と雇用保険では、保険料の負担方法も異なります。

労災保険

労災保険料は、原則として全額を事業主が負担します。

雇用保険

雇用保険料は、事業主と労働者の双方が負担します。

労働者負担分は、給与から控除することになります。

なお、雇用保険料率は年度によって変更されることがありますので、給与計算の際には最新の料率を確認することが大切です。


初めて従業員を雇う場合は何をすればいい?

初めて従業員を雇用する会社の場合、次のような順番で確認すると分かりやすいでしょう。

STEP1 労働条件を確認

勤務時間、雇用期間、雇用形態などを確認します。

↓

STEP2 労災保険を確認

労働者を雇用する事業として、労災保険の手続きが必要か確認します。

↓

STEP3 雇用保険の加入要件を確認

週の所定労働時間や雇用期間などを確認します。

↓

STEP4 必要な手続きを行う

労働保険の成立に関する手続きや、雇用保険の資格取得手続きを行います。

↓

STEP5 給与計算を開始

雇用保険の対象者については、雇用保険料の本人負担分を給与から控除します。


こんな場合は注意が必要です

次のようなケースでは、自己判断せず確認することをおすすめします。

  • 初めて従業員を雇用する
  • パート・アルバイトを採用する
  • 週20時間前後の勤務
  • 短期間の雇用
  • 複数の会社で働いている従業員
  • 雇用契約の途中で勤務時間が変わる
  • 事業所を新しく開設した
  • 会社を設立して初めて従業員を採用する

特に、**「週20時間ちょうど」「雇用期間が短い」「契約変更がある」**といったケースでは、具体的な労働条件を確認して判断することが重要です。


まとめ

労災保険と雇用保険は、どちらも労働者を守るための重要な制度ですが、加入の仕組みは異なります。

労災保険は、原則として労働者を1人でも雇用する事業が対象となります。

一方、雇用保険は、週の所定労働時間や雇用期間などの加入要件を満たす労働者が対象となります。

そのため、従業員を採用した際には、

「正社員かパートか」ではなく、実際の労働条件を確認して判断する

ことが大切です。

また、初めて従業員を雇う場合は、会社として行う労働保険の成立手続きと、従業員ごとの雇用保険資格取得手続きを整理しておく必要があります。

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熊澤人的資源管理事務所では、労災保険・雇用保険の加入手続きをはじめ、従業員の入社・退職に伴う社会保険・労働保険の手続きをサポートしています。

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