従業員を雇ったら労働保険・社会保険の手続きは必要?会社が行う手続き
初めて従業員を雇うことになったとき、会社が確認しなければならないことの一つが、労働保険・社会保険の手続きです。
「従業員を1人雇ったら、すぐに社会保険に加入するの?」
「パートやアルバイトでも保険に入る必要がある?」
「労災保険と雇用保険は何が違うの?」
「どこに、いつまでに手続きをすればいいの?」
このように、初めて従業員を雇用する事業主の方にとって、保険の手続きは分かりにくいものです。
労働保険と社会保険は、それぞれ加入の仕組みや手続きが異なります。
この記事では、初めて従業員を雇う会社が確認しておきたい労働保険・社会保険の基本と、実際に必要となる手続きについてご紹介します。
労働保険と社会保険は何が違う?
まず、労働保険と社会保険を整理してみましょう。
労働保険は、労災保険と雇用保険を合わせた呼び方です。
一方、会社員について一般的に「社会保険」という場合は、主に健康保険と厚生年金保険を指します。
| 種類 | 主な制度 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 労働保険 | 労災保険 | 仕事中・通勤中のけがや病気など |
| 労働保険 | 雇用保険 | 失業、育児休業、介護休業など |
| 社会保険 | 健康保険 | 病気・けが・出産など |
| 社会保険 | 厚生年金保険 | 老後・障害・死亡など |
同じ「保険」でも、制度ごとに加入要件や手続きが異なります。
そのため、従業員を雇ったら「社会保険に入れるかどうか」だけを見るのではなく、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険をそれぞれ確認することが大切です。
まず確認したいのは労災保険
労災保険は、仕事中や通勤中に労働者がけがをした場合などに必要となる制度です。
原則として、労働者を1人でも雇用する事業は労災保険の適用対象となります。
正社員だけでなく、パート・アルバイトなども対象となります。
したがって、
「アルバイトを1人だけ雇ったから労災保険は関係ない」
ということではありません。
初めて労働者を雇用する場合には、会社として労働保険の保険関係成立に関する手続きなどを行う必要があります。
雇用保険は加入要件を確認する
雇用保険は、すべての従業員が加入するわけではありません。
一定の要件を満たす労働者が加入対象となります。
例えば、雇用期間や週の所定労働時間などを確認し、加入要件を満たしているかを判断します。
そのため、従業員を雇ったときには、
「正社員かパートか」だけで判断しないこと
が重要です。
勤務時間や雇用契約の内容を確認したうえで、雇用保険の資格取得手続きが必要かどうかを判断します。
社会保険は会社と従業員の両方を確認する
健康保険・厚生年金保険については、まず会社が適用事業所に該当するかを確認します。
法人事業所は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所となります。
個人事業所については、業種や従業員数などによって取扱いが異なります。
さらに、会社が適用事業所であっても、すべての従業員が必ず社会保険に加入するとは限りません。
従業員の勤務時間や勤務日数など、加入要件を確認する必要があります。
パート・アルバイトの場合は特に注意
「パートだから社会保険に加入しなくてもよい」と考えるのは適切ではありません。
パート・アルバイトでも、勤務時間や勤務日数、企業規模などの条件によって、健康保険・厚生年金保険の加入対象となる場合があります。
また、雇用保険についても、一定の要件を満たせば加入が必要になります。
採用時には、雇用形態だけではなく、実際の勤務条件を確認することが重要です。
初めて従業員を雇う会社が行う主な手続き
初めて従業員を雇う場合、会社の状況や従業員の勤務条件によって必要な手続きは異なりますが、主に次のような確認を行います。
労働保険
- 労災保険の保険関係成立に関する手続き
- 労働保険料に関する手続き
- 雇用保険の資格取得手続き
社会保険
- 健康保険・厚生年金保険の新規適用に関する手続き
- 従業員の健康保険・厚生年金保険の資格取得手続き
- 被扶養者がいる場合の手続き
必要な手続きは、会社がすでに労働保険・社会保険の適用を受けているかどうかによっても変わります。
どこに手続きをする?
手続き先も制度によって異なります。
労災保険・労働保険
主に労働基準監督署や都道府県労働局などが窓口となります。
雇用保険
主にハローワークで手続きを行います。
健康保険・厚生年金保険
主に日本年金機構の年金事務所で手続きを行います。
「保険の手続きだから、すべて同じところに提出する」というわけではありません。
制度ごとに手続き先を確認する必要があります。
手続きには期限があります
労働保険・社会保険の手続きには、それぞれ提出期限があります。
特に従業員の資格取得手続きは、入社後に後回しにしてしまうのではなく、入社が決まった段階で必要な手続きを確認しておくことが大切です。
手続きが遅れると、保険料の計算や従業員本人の給付などにも影響する場合があります。
会社が従業員から確認しておきたいこと
入社時には、手続きを進めるために従業員から必要な情報や書類を提出してもらいます。
例えば、
- 氏名・住所
- 生年月日
- 基礎年金番号
- 雇用保険被保険者番号
- マイナンバー
- 扶養家族に関する情報
- 給与振込口座
- 通勤経路
などです。
ただし、必要となる情報や書類は手続きによって異なります。
初めて従業員を雇うときの流れ
全体の流れを整理すると、次のようになります。
① 従業員の勤務条件を決める
↓
② 労働条件を明示し、雇用契約を結ぶ
↓
③ 労災保険の手続きを確認する
↓
④ 雇用保険の加入要件を確認する
↓
⑤ 健康保険・厚生年金保険の加入要件を確認する
↓
⑥ 必要な資格取得・加入手続きを行う
↓
⑦ 給与計算や保険料控除の準備をする
この順番で確認していくと、手続きの漏れを防ぎやすくなります。
よくある間違い
「正社員だけが対象」と考えてしまう
労災保険は、雇用形態にかかわらず労働者を対象とします。
また、雇用保険や社会保険についても、パート・アルバイトが加入対象となる場合があります。
「社会保険だけ手続きすればよい」と考えてしまう
社会保険とは別に、労災保険・雇用保険についても確認が必要です。
「従業員を雇ってから考えればよい」と考えてしまう
必要な手続きには期限があります。
採用が決まったら、入社前から必要な手続きを確認しておくと安心です。
まとめ
従業員を雇用すると、労働保険・社会保険についてさまざまな手続きが必要になります。
特に初めて従業員を雇う場合は、
労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険
をそれぞれ確認することが重要です。
また、パート・アルバイトについても、勤務条件によって加入対象となる場合があります。
会社の規模や従業員の働き方によって必要な手続きは異なるため、「自社の場合はどこまで手続きが必要なのか」と迷った場合は、早めに確認しておきましょう。
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